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財務・会計用語集

与信管理

与信管理とは?

企業が商品やサービスを販売する際、多くの場合、販売時点で代金を受領するのではなく、信用販売(いわゆる掛け売り)を行い、一定期間を経た後で代金を受領します。
販売時から入金までの間、代金を受領する権利として売掛金が計上されますが、取引の中には販売先の経営状況の悪化等により、売掛金が回収されない(販売代金が入金されない)場合があり、この売掛金が回収されないリスクを回避する、売掛金が回収されない場合の損失を最小化する業務のことを与信管理と言い、大きくは「信用調査」と「与信限度額の設定と運用」の2つのプロセスがあります。

<信用調査>
企業が新規の取引先と取引を始めるに際し、相手先の経営内容を評価し、信用取引の可否を判断します。相手企業の財務諸表等による定量分析や経営者の資質、業界分析、労使関係の状況などの定性評価、商売の形態や決済条件、取引先の販売先や仕入先などの商流分析など、幅広く情報を入手し、様々な角度から分析を行います。信用調査を専門に行っている企業のサービスを利用する方法もあります。

<与信限度額の設定と運用>
信用取引の可否の判断の次に、取引金額の上限である与信限度額を決定します。取引の開始後は売掛金が支払条件通りに回収できているか管理します。また、取引先の経営状況も継続的に確認します。

こうした取引先の経営状況や、債権残高、同一の取引先から仕入取引もある場合は債務残高、支払の状況などを考慮しながら、与信限度額も適宜見直す必要があります。

与信管理はなぜ重要か?

適切な与信管理を行っていないと、取引先の経営状況の悪化等により売掛金の回収の遅延や回収不能になるリスクが高くなり、企業の業績や資金繰りへの悪影響は避けられません。

業績の観点で言えば、例えば1,000万円の売掛金が回収不能になった場合に企業が被る1,000万円の損失を取り戻すにためには、「1,000万円の売上高」ではなく「1,000万円の利益」が必要であり、利益率 を10%とすると、1億円の売上高を追加で上げなければ、損失を補填することができません。

資金繰りの点においては、入ってくるはずのお金が入ってくるべき日に入金されないと、取引先への支払いや銀行からの融資の返済などに支障をきたし、損益計算書上は黒字であっても、最悪の場合、倒産する可能性もあります。また、売掛金の回収遅延が頻繁に発生すると、債権回収や事後処理に対するスタッフの負担が増加するだけでなく、企業の管理能力を疑われ、対外的な信用力の低下を招き、企業活動において大きな障害となります。ただ、与信管理が厳しすぎる場合にはビジネスの機会を逃してしまう可能性もあり、損失回避だけでなく、利益最大化の観点においても適切な与信管理は重要です。

与信管理規定とは?

企業が与信管理業務を円滑に実施するためには、与信管理規定を整備し、その運用を徹底させる必要があります。与信管理規定とは、企業が与信管理を適切に実行するためのルールや手順を定めた社内文書で、一般的には以下のようなことが記載されます。

・総則:与信管理の目的や適用範囲、責任範囲を記載
・取引開始のルール:新規取引を開始する前に必要な手続きを明記
・与信管理の運用ルール:取引先に対する与信限度額の設定と見直しに関する方針とルールを明記
・回収管理:取引後の売掛金の回収を円滑に行うための方針や手続きを明記

与信管理を適切に実行する上で与信管理規定は必須ですが、いかに内容が優れた与信管理規定があっても、関係各署が遵守しなければ意味がありません。与信管理を実行する部門の担当者が当事者意識を持てるよう、新規取引先の定期報告会の実施や、管理部門による定期的なチェックを実施し、与信管理の適切な運用に努めることが大切です。

FAQ(よくある質問)

与信管理は、なぜ重要なのですか?

与信管理は売掛金の回収遅延や回収不能のリスクを回避し、貸倒れの損失を最初化するために極めて重要です。適切な与信管理を行っていないと、取引先の経営状況の悪化等により売掛金の回収の遅延や回収不能になるリスクが高くなり、企業の業績や資金繰りへの悪影響は避けられず、最悪の場合、倒産する可能性もあります。

また、売掛金の回収遅延が頻繁に発生すると、債権回収や事後処理に対するスタッフの負担が増加するだけでなく、企業の管理能力を疑われ、対外的な信用力の低下を招き、企業活動において大きな障害となります。

与信管理を適切に行う上での注意点は?

与信管理を適切に行うポイントとして「適切な与信枠の設定」と「当事者意識」の2つを紹介します。

<適切な与信枠の設定>
・取引先の評価:
 やみくもに与信管理を行っても適切な与信枠の設定はできません。まずは取引先に関する情報を幅広く収集し、評価する必要があります。自社に情報収集や分析のリソースとスキルが不十分な場合は、外部サービスを利用する方法もあります。
・バランス:
 与信枠の設定ルールが厳しいほど、売掛金回収における損失のリスクは小さくなりますが、ビジネスの機会を逃してしまう可能性があり、利益最大化の観点も加味したバランスのとれたルールの整備と運用が必要です。
・定期的な見直し:
 取引先の業績や財務状況は常に変化するため、与信枠は定期的に見直すことが必要です。見直しの方法は最初の与信枠設定のプロセスと同様に幅広く情報を収集し、多角的に分析を行います。

<当事者意識>
与信管理は社内の一部の部署や担当者が実施すれば事足りるものではなく、営業部門、管理部門それぞれに役割があり、他人(他部署)任せではなく、それぞれが当事者意識をもって与信管理にあたる必要があります。特に営業担当者は取引先と直接接しており、取引先やその周辺から資金繰りに関する情報や経営状況に対する評判など、鮮度の高い情報を得ることができます。営業担当者が与信管理業務を理解し、日頃から取引先の経営状況や売掛金の支払い状況には気を配り、販売代金の回収までが営業の責任であるという意識を持つことが非常に重要です。

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