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楽天における SAP S/4HANAと決算プラットフォームで実現する経理DX

事例 経理

成長スピードの速い事業に対応するために

ネット通販サイト「楽天市場」から始まり、インターネットサービスだけでなく楽天カードや楽天銀行、楽天ペイなどの金融サービス、そして最近では携帯キャリア「楽天モバイル」としても営業を開始し、日々新しいことにチャレンジしながら拡大を続けている楽天株式会社。その成長速度は非常に速く、変化と多様性に富んでいる。「経理などバックオフィスの仕事も、会社のチャレンジに伴ってダイナミックな良い経験ができる」と語るのは楽天株式会社の國井氏。しかしそれは同時に、最も大変な部分でもある。

新しい事業が始まると、新しい経理プロセスが増える。そこに既存のシステムがそのまま使えるかと言えばそんなことはなく、結局人手に頼って工数を増やす形で対応するしかなかった。「毎年130〜150%くらいの割合で経理部門の提供する業務サービスの規模は大きくなっているが、対応するリソースを同じ割合で拡大することは出来ない。このギャップが広がることで、いつかは破綻してしまう、なんとかしたいと思っていました」と國井氏。同じような作業を自動化するためにRPAの導入も試してみたが、業務が標準化されていないことにより、効果は限定的であったと言う。

SAP S/4 HANA導入に伴って業務プロセスの標準化を計りたい

そんなとき、SAP S/4 HANAへの移行に伴って、このタイミングで勘定科目などを整理し、会計データと業務プロセスの標準化を図った。ここで課題となったのは「ERP外の業務プロセスの標準化」だ。これまでは手作業でデータを入力するエクセルや、作業マニュアルがパワーポイントでそれぞれ作成され、フォルダ上で管理されていたが、組織変更に伴いフォルダ体系の変更を都度行うことは難しく、結果として過去の組織体系に基づいたファイル管理となってしまう等、課題が多かった。

部署によっても異なる業務プロセスをできるだけ一本化し、ERP外の手作業の部分をデジタルで管理したい。國井氏はそう考えていたが、実際に経理に特化した業務管理システムで実績のあるソリューションが見つけられなかった。そんなときに出会ったのが、BlackLineだ。2019 年の夏に開催されたブラックライン社のイベントで見たタスク管理のデモは、まさに欲しいと思っていたソリューションだったという。

導入を検討する段階で、ブラックライン社に詳細な説明を受けた。BlackLineがどのような形でデータを保持し、どのような形で活用可能なのか。國井氏が思っていた通りの操作性があり、実務の効率化を本当に実現できるのかを、時間を割いて確認したそうだ。

2019年4月から動き始めたSAP S/4 HANAへの移行に、後追いの形でBlackLineの導入が決定したのは2019年末。そして2020年7月のSAP S/4 HANA稼働と同時に、 BlackLineの運用も開始された。

決算業務のDXを行うためのBlackLine

BlackLineはSAPと親和性が高いクラウド型の決算プラットフォームだ。これまでの決算の流れは、まず手作業で決算用のスプレッドシートを作成し、金額の照合を手作業で行い、承認の証跡をハンコで残し、これらのタスク管理をエクセルで実施するというものだ。手作業が増えれば独自のスプレッドシートが増え、記載ミスなど人的エラーも起こりやすくなる。さらにファイルが分散しているためタスクが見えにくく、誤謬リスクも高い。

「決算業務のDX」を謳うBlackLineは、これらの作業を全てデジタルに置き換える。BlackLineのダッシュボードから作業の進捗をリアルタイムに確認し、表示されたタスクを消化する形で経理業務を行う。費用の処理や担当者への連絡、必要なファイルの添付、承認などもシステム上で行える。残高照合や仕訳作成機能をERPと連携させれば、転記に関する人為的なエラーも無くなる。
さらに、クラウド型プラットフォームなのでリモートでの利用も可能で、外出先やコロナ禍の現在でも在宅で経理システムを操作し、BlackLine上の機能を使って承認までのプロセスを完了できる。

これらの機能の中で國井氏が注目したのはやはり「タスクリスト」の部分だった。システムを入れたことで、全ての部署のタスクリストを同じツールで共有できるようになり、誰がどこで何をして、どういう会計処理をしているかが瞬時にわかるようになった。

また、これまでスプレッドシートを使った手作業の部分が減り、経理業務に使う資料などが全てBlackLine上で確認できるようになったことで、作業を標準化して効率化していくための土台ができたという。「まだ導入して最初の月次決算を締めたところで、自動化で楽になったとかの実感はなくて。操作に慣れてない人も多いので、まずはスムーズに入力して毎月確実に決算を締められるようにしたいと思っています」と國井氏。現在動いているモジュールはタスク管理と勘定照合で、今後は仕訳入力、差異分析なども活用していく予定だ。

アフターコロナ時代に対応するリモート決算ソリューション

BlackLineという外部のソリューションを採用することで、その操作に沿った業務プロセスを構築し、ERPの外の作業を標準化するという國井氏の目的は達成されそうだ。「経理の正確性、効率性をあげるには、システム外の部分をどのように標準化して良いプロセスを構築するかということが避けられない論点になっていると思うんです。弊社の場合はBlackLineが、その答えになると思っています。」

現在、楽天株式会社はグループ全体へのSAP S/4 HANAの展開を開始している。BlackLineはあくまでも業務管理ソリューションなので、使われる部署によって導入の判断は変わってくるようだが、本社と業務をシェアードしている会社には全て導入される予定だ。さらにERP、SAPを導入する子会社への紹介も進めている。「ちょうどコロナの状況もあって、承認を印鑑でやってたのをシステムで代替したい」という相談もあるそうだ。

アフターコロナの時代。「経理業務のDX」を可能にし、業務プロセスの標準化を実現するBlackLineはリモートワーク、働き方改革の現実的なソリューションと言えるだろう。

<取材対象者>

rakuten.png楽天株式会社
財務経理ディビジョン コーポレート経理部
ジェネラルマネージャー
國井 渉氏