信頼できる経理財務AIのための国際規格:ISO42001
※本ブログは、2025年10月29日にBlackLine本社が発行したBlackLine Blogの日本語翻訳版です。原文は、こちらからご覧いただけます。
AIが主導する世界からの「信頼」の要求に応える
私たちがサイバーセキュリティに焦点を当て続けるとき、AIの責任ある開発と導入にまで議論を広げる必要があります。経理財務のリーダーにとって、AIがもたらす可能性と同等に、信頼性、安全性、そして統制が不可欠であるということが重要です。
こうした背景から、BlackLineがISO/IEC 42001:2023認証を取得したと発表(※)できることを誇りに思います。これは、世界初の人工知能マネジメントシステム(AIMS)に関する国際規格です。
この認証は単なる技術的な成果ではなく、信頼できるAIを求める市場の要求に対する直接的な回答です。これは、CFO組織にとって、BlackLineのAIが倫理的な開発、説明責任およびリスク管理のための厳格なフレームワークによって管理されていることを保証します。これは、お客様に対して責任あるAIを提供するための私たちのコミットメントを正式に表明するものであり、イノベーションと誠実性(インテグリティ)が同時に前進することを確実にするものです。
※BlackLine® Sets New Standard for Trusted AI in Finance with ISO 42001 Certification
10年以上にわたり築き上げた信頼の基盤
ISO 42001認証の取得は、12年以上に及ぶ当社の歩みにおける最新のマイルストーンです。経理財務とテクノロジーにおける信頼は一朝一夕に築かれるものではありません。セキュリティとデータ保護への持続的かつ実証された取り組みを通じて獲得されるものです。
一部のプラットフォームがようやくセキュリティ開発を始める一方で、BlackLineの基盤はすでに確立されており、経理業務を安全に自動化するための実証済みのフレームワークを提供しています。この新たなAIに特化した規格は、当社が長年貫いてきた「セキュリティ最優先」の姿勢の延長線上にあります。
揺るぎないセキュリティ基盤としての認証
ISO 42001規格は、当社の国際的に認められた認証ポートフォリオに加わり、お客様の財務データを包括的に保護する盾を形成します。この多層的なアプローチは、他に類を見ない包括的なセキュリティへのコミットメントを実証するものです。
当社の主要な認証は以下の通りです。
• ISO/IEC 27001:情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格
• ISO/IEC 27017:クラウドサービス向け情報セキュリティ管理の実践規範。
• ISO/IEC 27018:パブリッククラウドにおける個人識別情報(PII)保護の実践規範。
• ISO/IEC 27701:プライバシー情報管理システム(PIMS)の標準規格。
BlackLine Verity:技術者だけでなく経理財務に携わる人の開発されたAI
この認証は、経理財務向けに設計されたAIであるBlackLine Verityの真価を直接的に証明するものです。ラテン語で「真実」を意味するVerityは、経理担当者が信頼できる確かなインサイトを提供できるように設計されています。ISO 42001フレームワークは、当社のAIマネジメントシステムが、汎用AIモデルにありがちな「ゴミを入れればゴミが出る(garbage in, garbage out)」問題を含むリスクを軽減するよう設計されていることを保証します。
会計の複雑さに特化したAIを構築することで、当社はモデル、データ、そしてアウトプットが適切かつ正確であることを保証しています。これは汎用ツールを後付けで経理財務向けに改造したものではなく、経理財務の専門家によって、経理財務のプロフェッショナルのために設計された特殊なエンジンなのです。Verityは、単なるタスクの自動化を超え、戦略、インサイト、そして意思決定を積極的に強化する段階へと進化しています。その結果、プロセスを複雑化させるのではなく、プロセスを強化する信頼性の高い経理財務AIが実現したのです。
ISO 42001認証がお客様にもたらす価値
この認証を実践的な価値に転換するにあたり、BlackLineの責任あるAIへのコミットメントが、お客様の組織にどのような価値をもたらすか、以下にご説明します。
1. リスクを伴わないイノベーションへの確信
ISO 42001規格は、AI導入に伴うリスクを低減する検証済みのフレームワークを提供します。経理財務の責任者にとってこれは、基盤となるテクノロジーが厳格な倫理・セキュリティプロトコルによって管理されていることを理解した上で、AI主導の変革を確信を持って推進できることを意味します。コンプライアンスやデータプライバシーでの予期せぬ脆弱性を招くことなく、決算処理などの分野でのイノベーションを加速できるのです。
2. 確実な統制と完全な監査可能性
信頼には透明性が不可欠です。当社のAIマネジメントシステムは、規制当局、監査人、ステークホルダーが求める監査可能な証跡を提供します。この認証は、AIの開発、導入、監視における当社のプロセスが文書化され検証可能であることを証明します。
3. エージェント型AI(Agentic AI)による競争優位性
BlackLine Verityには、エージェンティック(Agentic:自律的・能動的)なAI体験へのアクセスが含まれており、AIが先読みして作業を特定し、タスクを実行し、検証すべきインサイトをチームに提示することができます。この機能により、経理財務部門は受動的なコストセンターから、能動的かつ戦略的なパートナーへと進化します。ISO 42001の保証のもと、エージェント型AIを活用して複雑な照合や分析を自動化することで、チームは競争優位性を生む高付加価値業務に注力できるようになります。
BlackLineの差別化要因:DNAに刻まれたセキュリティへのコミットメント
「AIファースト」を掲げる企業がひしめく市場において、当社のアプローチは一線を画します。BlackLineは創業以来、セキュリティファーストを貫いてきました。セキュリティへの取り組みは、トレンドへのマーケティング的な対応ではなく、当社のDNAに深く根ざしています。
ISO 27017やISO 27018といったクラウドセキュリティとプライバシーの専門認証が加わることで、単なるAI認証だけでは得られない、責任あるAIのための強固な基盤を構築しています。この深いコミットメントは、インフラからAIモデルに至るプラットフォームのあらゆる層が、最高水準のセキュリティ、プライバシー、信頼性のために設計されていることを保証します。
責任ある経理財務の未来を拓く
BlackLineのISO 42001認証は単なる称号ではありません。これは、経理財務のプロフェッショナルを信頼できるテクノロジーを支援するという、私たちの揺るぎない献身の証です。イノベーションと責任が一体となる未来を築くという、私たちの深いコミットメントを証明するものです。最も強力なAIとは、完全に信頼できるAIであると私たちは信じています。
<原文ライター>
PJ Johnson
Content Marketing Manager, BlackLine