シェアードサービスセンターの効果的な導入と業務改善~SSC Round Table 開催レポート
シェアードサービスセンター Round Table 開催レポート
2025年10月31日、ブラックライン株式会社は経理財務のシェアードサービスセンター(以下、SSC)をテーマとしたラウンドテーブル形式のイベントを開催しました。本レポートでは、その概要と各プログラムのサマリについてご紹介します。
SSCをテーマにするのは初めての試みでしたが、その背景として、近年、グループの本体だけでなく、シェアードサービス会社(以下、SSC)からの問い合わせが増えており、また、グループの本体とSSCが一体となって様々な変革に取組んでいるという声をよくお聞きするようになったということがあります。そこで、SSCに携わっているもしくはSSCの導入を検討されている経理財務のマネジメントやリーダーの方々を対象に、企業の垣根を越えて知見や課題意識を共有し、今後の業務改善やSSCの効果的な導入に向けたヒントを得るための意見交換の場として、本イベントを開催する運びとなりました。
<アジェンダ>
- 開会のあいさつ:ブラックライン株式会社 代表取締役社長 宮﨑盛光
- パネルディスカッション
パネリスト
富士フイルムビジネスエキスパート株式会社 執行役員ファイナンスマネジメント部長 加藤丈雄氏
NECビジネスインテリジェンス株式会社 経理財務サービス統括部エグゼクティブマネージャー 今村知恵氏
富士通アドバンス・アカウンティングサービス株式会社 変革チームディレクター 森本基央氏
モデレーター
ブラックライン株式会社 ストラテジック・アカウントエグゼクティブ 窪木真人 - テーブルディスカッション&発表
- 懇親会(ネットワーキング)
パネルディスカッション
冒頭のブラックライン社長の宮﨑のあいさつの後、変革のフロントランナーとして様々なチャレンジをされているSSC3社に登壇いただき、変革を迫られた背景や対策、今後の展望についてお聞きしました。
各社の概要
- 富士フイルムビジネスエキスパート(以下、FFBX)
グループのSSCとして8つの事業領域(経理、人事、購買、総務、ファシリティ、保険、マーケティング、R&D)を核とし、経理領域ではホールディングス含め29社のグループ会社にサービスを提供。 - NECビジネスインテリジェンス(以下、NBI)
グループ各社のコーポレート機能を担当するSSCとして経理財務、人事、調達、経営管理、人材開発、総務、情報システム、製品開発支援、営業バックオフィスの事業を展開し、経理領域では本体含め20社弱のグループ会社にサービスを提供。 - 富士通アドバンス・アカウンティングサービス(以下、FAA)
経理領域のみを事業とするグループのSSCで、本体含む40社弱のグループ会社にサービスを提供。
変革の背景
FFBX 加藤氏:
2010年初めに経理部門にもコスト削減による貢献が強く求められ、その一環として、シェアードサービスセンター(SSC)を立ち上げ、早期にスケールメリットを創出していくことを検討した。先ずは小規模な生産子会社5社を対象にトライアルを開始し、1年の間で標準プロセスを策定し、SAPのコード体系も整備した。その後は、品質強化も目的として入ってきたが、近年は経営への貢献を果たすための工数創出のため、更なる効率化が大きな課題となっていた。そこで、現場には紙ベースの手作業が多く残っていたため、まずはペーパーレス化から着手した。しかし、それでもERP周辺の業務効率化は進まず(ERPは元帳機能に過ぎないため)、特に決算業務の効率化は長年の大きな課題として残っていた。
NBI 今村氏:
SSC立上げ当初、各社の業務をそのままにとりあえず集約したので、各社のプロセスがバラバラで不透明で、可視化が第一の課題。業務マニュアルやフローチャートを作ってはみたが、日常業務をやりながらでは標準化は進まなかった。SAPを導入しているグループ会社は多かったが、業種ごとにカスタマイズされ、もはや別システム。さらに小規模会社はSAP以外のシステムという状況で、各社ごとにログインが必要など、業務軸の組織体制の構築は困難だった。
FAA 森本氏:
2社と重なる部分もあるので、少し違った視点で、個々の業務処理での課題をお伝えする。
- 勘定照合(残高照合)
本体のような大規模会社の場合、勘定残高の照合相手(データソースや関係者)が多いので、どこまでBlackLineに取込むか、また、BlackLineのIDを付与するか、まだ試行錯誤中。 - 手動仕訳
BlackLineはSAPとはコネクターがあるが、富士通では自社ERPのGLOVIAを使っているグループ会社も多く、その会社は手作業でBlackLineに仕訳データを取り込んでいる。結果としてBlackLineで仕訳データを一元管理している形にはなっている。システム間連携に関する課題は、勘定照合も同様。 - 電子承認
証跡をBlackLineで一元管理しているが、監査人にどこまで解放するか。この作業や判断は極めて人に依存した作業となっていて悩ましい。
課題に対する打ち手
FFBX 加藤氏:
標準化は進めたものの、基幹システムが複数存在していたため、会社単位で業務を行う従来の仕組みから、業務機能単位での標準化・自動化へ移行することは容易ではなかった。そこで、BlackLineを共通プラットフォームとして採用した(下図参照)。効率化の面では、特に入金消込に多大な工数がかかっていたことが課題であったが、この処理にBlackLineを活用できる見通しが立ったことは大きな成果である。実際、iSAPを利用しているグループ会社では約90%の自動化を実現しており、今後はこの仕組みを横展開したいと考えている。
NBI 今村氏:
まず、タスク管理により各社で現状プロセスの可視化を横並びで行った。次に、業務を機能軸に再編する過程で進捗の可視化を実施した。続いて取り組んだ効率化では、FFBXと同様に入金消込が大きな課題であったが、現在は約80%まで自動化できている。さらに、3つ目の取り組みとして仕訳入力のフロントをBlackLineに統一した。基幹システムが複数存在する中で、この仕組みは効率化に大きく貢献している(下図参照)。
FAA 森本氏:
当社でもBlackLineを活用し、入金消込の効率化に取り組んでいる。グループ会社では85%の自動化を実現し、本体も70%まで進んでいる。さらに改善を目指しているが、SAP導入と並行して複数システムをBlackLineに接続する必要があり、ITリソースの制約から一部手動仕訳が残っている状況だ(下図参照)。ここで重要なのは、BlackLineと周辺システムの連携は技術的には後からでも可能だが、大規模プロジェクトと同時に進めることでROIの観点から投資承認が得やすくなるという点である。これからシステム導入をされる方々は、この点をぜひ考慮していただくと良いのではないかと思う。
今後の展望
FFBX 加藤氏:
BlackLineを活用してグループに複数あるERPの制約を受けずに標準化・自動化を推進し、さらに経営に貢献できる体制を整備する。足許では、入金消込業務において、規模が大きくプロセスが複雑なグループ会社での自動化率の向上が課題。また、タスク管理で情報の一元化や進捗管理の可視化を進めたい。さらに今後、監査人へのBlackLineの権限付与も検討しており、監査対応の効率化も実現していきたいと考えている。
NBI 今村氏:
さらなる効率化と高度化を進め、受託会社へのサービス品質を一層向上させたいと考えている。受託会社へのBlackLineのID付与も視野に入れている。監査対応についても、できる限り人手をかけず、よりスマートなプロセスを実現していきたい。さらに、BlackLineでのAI活用にも可能性を感じている。現時点では具体的なイメージはまだ固まっていないが、今後の進化に期待している。
FAA 森本様:
足許の課題はまだまだ多く残っているが、その上でやはりBlackLine+AIの活用を検討したい。各社のデータがBlackLine上に溜まってきているので、例えば、月次の決算レポート作成をAIで自動化するなど、BlackLineと一緒に進めていきたい。
テーブルディスカッション
テーブルディスカッションでは、SSC導入済みの企業と導入中もしくは導入を計画中という企業が混在する形で6~7名の構成で配置され、各社の悩みや取組みなど、ラウンドテーブルならではの闊達な意見交換や質疑応答が行われ、その後、テーブルごとに討議内容について発表がありました。以下に各テーブルで取り上げられたトピックスの一例を紹介します。
- SSCを始めるにあたり、集約が先か、標準化が先か
- SSCの受託料をどう設定するか
- SSCの中でBPOをどう活用するか
- 標準化が進まない会社、変わろうとしない現場にどんな対策を講じるか
- SSCでのBlackLineの具体的な利用方法、効果、課題
最後のプログラムの懇親会でも、お客様同士が積極的に名刺交換や意見交換を行っている様子がうかがえました。イベント後のアンケートでは
実務的な担当レベルでの困りごとや解決策が大変参考になった
SSC導入の各段階での具体的な課題やアプローチを聞くことができた
SSCに関して業界を越えた情報交換ができた
など、本イベントを通じて、参加された方が有意義な時間を過ごすことができたことがうかがえるコメントを数多くいただきました。また、今回のようなSSCをテーマに実務者を対象としたイベントを継続して欲しいといった声も散見されました。
ブラックラインは今後も、経理財務部門の高度化と人材価値の最大化をご支援するために、製品の提供だけでなく、今回のような企業や業界の垣根を越えたネットワークづくりを促進する場を企画して参ります。ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。また、当日の円滑な運営をサポートしていただいたホテルのスタッフのみなさまにも感謝申し上げます。
※関連記事、ホワイトペーパー:
NECビジネスインテリジェンスの変革の取組み(導入事例 ホワイトペーパー)
富士通の財務経理部門変革の取組み(BlackLine Summit2024 イベントレポート)
※SSC関連のオンラインセミナーも予定しておりますので、ぜひこちらからご確認ください。
<レポーター>