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「モダンアカウンティング」の実現で経理財務部門に変革を起こす

「BeyondTheBlack TOKYO 2022」レポート#9
シリーズ9回目は、ブラックライン株式会社 カスタマーチーム部長の石川 康男による講演です。

ここ数年で「経理財務の現場が大きく変わった」と感じる方は少ないかと思います。ビジネスが複雑化しているのにも関わらず、なぜ経理財務部門が変化できないのか。そして、世界の先進企業に追いつくためにはどのような変化が必要なのか。ブラックラインでカスタマーチーム部長を務める石川が、これからの経理財務部門の在り方を語りました。

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【アジェンダ】

モダンアカウンティングを構成する3つの柱

まず指摘されたのは、多くの企業の経理財務部門では、さまざまな負の要因が解決されないまま残っているということだ。具体的には「Excel中心のマニュアルプロセス」「人手によるチェック・照合」「より正確に、より迅速に締めろという上からのプレッシャー」「単純な反復処理によるエンゲージメントとモラルの低下」などだ。効率的に業務を進めるにあたり、これらが悪影響を及ぼすことは想像に難くない。

このような現状を打破するためには何が必要なのだろうか。ここでは、3つの柱からなる対策によってモダンアカウンティングを実現することの重要性が語られた。

第一の柱として紹介されたのは、ルールベースや機械学習、AIなどによる自動化技術である。石川はこの技術を、企業のIT部門ではなく経理部門がコントロールできるソリューションの導入によって実現しなくてはいけないと語る。また、多くの企業において決算業務が月末月初や期末期初に集中している状況下において、この偏りを平準化すること、すなわち「コンティニュアス・アカウンティング」を実現することが第2の柱だと説いた。

3の柱は「統一されたプロセスへの移行」である。これは経理業務に利用するデータを一元化したり、状況の情報を共有して多人数が協調して業務にあたることで、属人化しがちな決算業務を標準化することを目指したものだ。

BlackLineを活用したモダンアカウンティングの最先端事例

では、実際にモダンアカウンティングはどのように実践されているのだろうか。石川はBlackLineを導入し、目覚ましい結果を出した2社を例に挙げて説明する。まず紹介したのは、アメリカとカナダで放送事業を展開するシリウスXMラジオ社だ。同社では、2010年からBlackLineを利用している。

BlackLineを導入した当時の同社は、照合手続に複数の決済システムを利用していた。しかし、マニュアルの処理では取引量の多さに対応できず、照合不能に陥ることがあった。そこで、照合処理の自動化が可能なソリューションを探していた時にBlackLineに出会ったという。

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「同社がBlackLineを採用した理由は、まずクラウド形式であること。そして操作性の良さや拡張性が高いこと、パートナーとして信頼できることなどを挙げていました」(石川)。

同社では最初にマッチングモジュールを導入し、クレジットカード明細の突合業務に活用していた。導入後は700万件の取引で99.9%の一致率を達成している。その後、勘定照合やタスク管理、仕訳入力といった各モジュールを導入。導入から2年間で、以前はマニュアルで処理していた仕訳の50%を自動化することに成功した。今後はさらに20%の自動化を見込んでいるという。

また、グローバルEC企業のeBay社では、2013年からBlackLineを採用している。BlackLine導入以前の同社は勘定体型が非常に複雑であったため、月次の締め業務が最長10日に及ぶこともあった。また、承認作業も事後的なため、タイムリーに統制の効いたプロセスを取ることができなかったという。この状況に限界を感じた当時の経理担当者が抜本的な改革を進めるべく、BlackLineを採用することとなった。

BlackLineの導入後、同社は7,000件の決算タスクと1万件の勘定照合、17,000件の仕訳をプラットフォーム上で処理することが可能になり、以前は最長10日かかった締め業務を3日に短縮することができた。また、グループ全体の可視性を確保するとともに、インドにあるSSCに単純作業を集約することも可能になったという。

世界の先進企業が実践する変革の5つのコツ

これらの例を踏まえたうえで、国内の企業が経理財務部門を変革するにはどのようなポイントが重要だろうか。ここでは、経理でDXを推進する立場にある方やDX推進室に在籍する方向けに、5つのポイントが紹介された。

第一に、変革の推進と定着が重要であるという。石川は、先に述べたシリウスXMラジオ社やeBay社が10年以上前から改善活動を続けていることを例に挙げ、変革は一朝一夕にできるものではないと強調。継続的な変革が重要であると説いた。

また、改革においては「変化の管理と順序付け」を意識することが重要だという。DXを考える際、人々はついつい効果の大きな自動化というポイントに目が奪われ、すぐに手を出しがちだ。しかし、先に可視化や標準化を済ませておくことにより、自動化はより効果を発揮し変化がスムーズに進むようになる。

第二に、リスクを共有したうえで変革に挑むことが重要であるという。新しいテクノロジーにスタッフの賛同が得られない場合、Excelや手作業による会計処理に戻ることになるだろう。また、DX以前のやり方をそのまま最新のテクノロジーで実行するような変革では、非効率な部分が改善されないまま残るため、最適な形を考えることが大切だと説明した。

第三に、変革チームに5つの役割を取り入れることが重要であるという。具体的には、スポンサーを巻き込む(トップを味方につける)、チャンピオンを見つける(熱心で情熱的な社内の経理担当者を活用する)、コミュニケーターを育てる(チームに効果的なコミュニケーションを確立する)、チェンジイネーブラーの投入(変化に消極的な人を積極的に支援する)、スコアキーパーを充てる(パフォーマンスを測定する)に注意すべしとのこと。

第四に、スタッフのエンゲージメントを育むことが重要であるという。これは、測定された結果と改善に基づいて適切な報酬を設定することを指す。また、チームミーティングでフロントラインのスタッフを公に評価することや、設定したマイルストーンに到達したことを祝うことも効果的だと説明した。

第五に、経理財務部門が主体となって変革を進めることが重要であるという。これは、継続的に改善を進めるためには、できるだけ経理財務部門がイニシアチブを握ることが効果的であるためだ。例えば、新しい自動化定義を設定したり、その設定を変更したりする際、毎回IT部門や技術コンサルタント、ベンダーに依頼することは望ましくない。他の部門や第三者へ依存すると、都度予算や稟議が必要となり、タイムリーかつ継続的に変革を進める障害となり得る。

一方で、経理担当者がコードを書いてソリューションを扱わせることは、一般的に困難である。従って、ノーコードで設定できるソリューションを選択しなくてはならないと説明した。

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石川は、「先進的な企業は10年前から変革を進めている。今回の講演で紹介した企業に追いつくためには、変革を『今からやること』が大切です」と強調する。そのうえで、BlackLineは変革を支えられる各モジュールを持っていることを改めて紹介し「ぜひ変革のお手伝いをさせてください」と締めくくった。

BeyondTheBlack TOKYO 2022 の3つの基調講演・エグゼクティブ対談をまとめた
イベントレポートを公開しておりますので、こちらもぜひご覧ください。

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