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人間にしかできない経理の仕事とは?早稲田大学 入山教授による特別講演から考える【後半】|ブログ

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「BeyondTheBlack TOKYO 2021」レポート

日本におけるイノベーション創出の遅れの要因と組織変革のあり方について早稲田大学ビジネスクール教授・入山章栄氏が経営学の視点から語る当セッション。後半では、新たな価値を創出できる組織になるためのアクションと、その前提となるDXのあり方について解説していく。(前半はこちら

失敗を受け取められる組織、評価制度のシフトが必須

とかく目の前の「知の深化」に偏向する競争力のワナ(Competency Trap)にハマりがちな日本企業において「知の探索」を促すにはどうアクションを起こすか。入山氏は3つのフェーズで進めることを助言する。

1つが「個人」だ。その前提として、「失敗を受け止められる組織をいかに実現するかが重要なポイントです」と入山氏。
アップルのスティーブ・ジョブス然り、アマゾンのジェフ・ベゾス然り、彼らの偉大な発明の裏には数多くの失敗があったように、「知の探索」に失敗はつきものだ。社員が失敗を恐れず「知の探索」に積極的に取り組む環境を作るには、失敗か成功かで評価する紋切型の評価制度からの脱却が必須だという。

2つ目が他企業と連携して進める「アライアンス」だ。異業種の企業、ベンチャー企業は旧来型の日本企業が擁しない様々な知見を擁している。オープンイノベーション、M&Aほか、CVCなど知の探索型の投資は積極的に進めるべきだと提言する。

3つ目が「組織」だ。その観点から、多様性を深めていくダイバーシティや副業認可や社外活動を推奨する働き方改革の推進は理にかなっている。だが、“イノベーションの手段”としての本来の目的が理解されていない点が問題だという。

企業のビジョン、パーパスへの“腹落ち”の醸成が肝要

4J8A4808.jpgそれに関連し、最も重要な経営学上のキーワードとして、入山氏が挙げるのが「センスメイキング」だ。日本語に訳すと「意味づけ・納得」を意味し、組織のメンバーやステークホルダーを納得させ、いま何が起きていて、自分たちが何者で、どこに向かっているかの「意味づけ」を行うことを指す。

正解が見えない中で「知の探索」を行い、イノベーションにつなげていくには、経営トップが自社のビジョン、パーパス(存在意義)、向かうべき方向を意味づけ、社員を納得させ、前に進んでいく。つまり、納得感、“腹落ち”を何より重視すべきだと提言する。さらに、「DXはそのためのインフラとして位置づけるべきです」と指摘。経理業務然り、失敗なく効率的に進めていくべき業務はそれを得意とするAI(人工知能)や機械学習といったデジタルに任せ、一見ムダに見え、失敗も多く、腹落ちが必要となる人間にしかできない「知の探索」に人材を振り向けるべきだという。

グローバル企業の多くが組織や人材育成の変革に注力する中、「日本企業も今後、変革を進め、新たな時代にイノベーションを創出していく流れに期待しています」と入山氏。その一つの指針として古から伝わる経営学を味方につけ、取り組みを加速化していきたい。

<スピーカー>
早稲田大学大学院経営管理研究科
早稲田大学ビジネススクール
教授 入山 章栄 氏