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今、あえて「伝票入力」を考える~令和に求められる伝票入力の要件と未来|ブログ

製品経理トレンド

「仕訳入力」とは、会計システムやERP、連結システム等のシステムでの伝票作成やマスタ作成を支援する機能です。一昔前ですが、私が在籍していた経理部では2名の派遣社員の方が、伝票入力と入力チェックの作業を終日行っており、決算期など伝票量が膨大になる時期には、私もその手伝いに駆り出されていました。

現在はどこの企業でも、各種のデータ登録作業はかなりの割合で自動化されて、そのような光景はなくなってきているのではと思いますが、反面、伝票入力に求められる新たな要件や背景が変化してきているのを、日々のお客様との会話で感じています。ここでは、今求められる伝票入力の新たな要件について、以下の3点を中心に考察してみたいと思います

「伝票入力」を取り巻く環境の変化と求められる要件

  1. 入力の業務標準化とガバナンスの強化
  2. シェアードサービスでの入力業務
  3. “既製服”主義(業務をシステムに合わせる)再ブームへの対応

1. 入力の業務標準化とガバナンスの強化

経理部門や財務部門は「エキスパート集団」ということが言われます。豊富な専門知識に基づき、ミスが許されない高度かつ複雑な業務を日々確実にこなし、少数精鋭で高いパフォーマンスを出す。素晴らしいことだと思います。反面、不測の事態に他の方が業務を代替しにくい、また、そのノウハウが十分に共有されず、引き継ぎや教育に支障をきたすことも多い、これも経理現場での実情です。

その分かりやすい代表例が「Excel」で、Excelは汎用的かつ便利で使いやすいソフトなのですが、エキスパートのノウハウを複雑な関数やマクロの形で詰め込まれて、作業用としてローカル環境に囲い込まれてしまうと、もう他者は手を出せなくなります。伝票入力前の各計算処理や集計、補助簿・内訳情報、記録・メモ等、誰もがアクセス可能な共有環境にない“Excel”の存在により、計算過程や確認の工程、背景等が十分に分からないままに上長は承認判断を余儀なくされる、これは統制面においても大きなリスクです。

残念ながら、従来の会計システムやERPパッケージには、内訳情報や補助簿の管理、ワークフロー設定や証憑/エビデンス添付、コメント入力といった機能が不十分なものも多く、外部に稟議システムを開発したり、マニュアルでの確認や承認作業(対面での確認や紙出力しての押印)に頼らざるを得ないケースもまだまだ存在します。コロナ禍の現在、「ハンコからの脱却」は関心の高いテーマですが、更に踏み込んで考えてみると、Excelをどう管理・定義づけるのかという古くて新しいテーマにも突き当たるのではと考えます。

2. シェアードサービスでの入力業務

経理や人事等バックオフィス業務のシェアード化は今や普通の話で、特に目新しいテーマではありませんが、シェアード化により当初見込んでいた効果が十分に得られているか(特にROI面)というと、苦戦している企業は実は多いのではないでしょうか?グループ各社の経理システムや非標準の業務プロセスを温存したまま、要員だけをセンターに集めただけでは、人件費の付け替え先が変わるだけで、経済的なメリットは得られません。

それが分かっていながら、既存のシステムやプロセスに手を入れることは負担が大きいため、課題解決が先送りになっているケースは非常に多く見受けられます。伝票の入力作業等はその典型で、私が最近お話を伺ったとあるお客様のシェアードサービスセンターでも、グループ各社の会計システムを分類し、それぞれに対してAチーム・Bチーム…と要員を張り付けておられました。

そこで、伝票入力用にフロントの仕組みとしてUIを統一化し、入力者は意識せずとも、各社の会計システムへ伝票が自動連携する仕組みをご提案しました。これなら、会計システムごとに要員を分ける必要はなく、1チームあるいは1人が捌ける会社数・伝票数は増えることになるため、1社あたりの人的コストが下がる、または配置人数を最適化する、といったことができるようになります。

3. “既製服”主義(業務をシステムに合わせる)再ブームへの対応

今から20年以上前の話ですが、ERPが一大ブームとなっていた時代に「オーダメードはやめて既製服に」というキャッチフレーズが叫ばれていました。残念ながら、日本国内においてはかけ声倒れに終わった感もあり、多くの企業ではERP導入プロジェクトの過程で現場部門の猛反発にあって、個別最適化に方針転換を行ってしまった結果、“アドオン”てんこ盛りの「おもてなしERP」が出来上がってしまいました。

昨今、IT業界はクラウド化やサブスクリプション化等の潮流が後押しとなり、今また「既製服」に合わせたIT活用という価値が再注目されています。既にあるサービスをそのまま使うことで、必要なシステムを手早く立ち上げその後のメンテナンス負担も軽くする、というメリットを得るためには、「No more アドオン」が避けては通れないという認識が広がりつつあります。“アドオン悪者論”についてここでは深くは触れませんが、パブリッククラウド型のERPに代表されるように、個人がSNSを使うような感覚で企業が経理システムを使う、そんな時代が到来しつつあるのかもしれません。

では問題の伝票入力、これをどうするのか。標準利用の方針には寄せたいが、そのためにユーザの利便性を大きく下げるのはためらわれます。そこで、「標準」の伝票入力用のフロントの仕組みを使い自動化/効率化の機能も合わせてユーザに提供することで、標準化とユーザ満足度のいいとこ取りができないか。こんなご要望が最近増えてきたと感じています。

伝票入力の未来

将来の伝票入力は、徐々に「タッチレス」の方向になっていくと我々は予想しています。例えば、例外処理の決算伝票も、自宅でスマホから音声入力した内容を人工知能やRPAが連動して登録処理を行う、そんな未来も案外近いのかもしれません。

投資家や市場に向けて財務諸表を公開する必要がある限り、伝票入力自体はなくならないと個人的には思っていますが、その位置づけや求められる要件はこれからも変わり続けるはずです。その時代にあった最適なソリューションを、これからも多くの日本企業の皆様にご提案させていただきたいと考えています。

<ライター>

nakahara.jpgブラックライン株式会社
ソリューションコンサルティング部
部長
中原 啓樹