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経理の“永遠の課題”?「会社間取引」業務から、経理要員を解き放つ鍵とは

グローバル経営の重要性が叫ばれ始めたのは、遠い昔のことのように感じます。その間、世界の市場規模は拡大し続けてきており、多くの日本企業も発展途上国に工場を建て現地生産を開始したり、主要都市に販売拠点を構えてローカル市場に参入したりと、グローバルビジネスの拡大へ突き進んできました。サプライチェーンの構築や販路拡大の過程で、現法の設立あるいはM&A等を通じて世界中へ進出を図ってきた結果、グループ企業の数も増え、グループ間の商取引のトランザクションも増加の一途をたどっています。ある調査では、世界の商取引のおよそ8割がグループ会社内の取引もしくはそれに関連した取引である、という報告もなされています。

経理部員を悩ます「会社間取引」業務の実態

経理プロフェッショナルを対象にしたアンケート調査でも、業務上負荷の大きい業務の上位として、毎年のようにこのグループ会社間取引にまつわる業務がランクインしています。最近のDeloitte社の調査※では、実に8割の経理プロフェッショナルが、会社間取引に関連した業務上の課題に直面した経験がある、と回答しています。例えば、四半期ごとの決算で各社間の取引残高の照合、債権債務の突合などの作業が行われますが、すんなり数字が合わない場合、その原因の調査・分析、それを受けての修正や是正の指示あるいは交渉、そして再びチェック・確認、というプロセスに多くの工数が割かれることとなります。また、会社間の取引には通常、経理チーム以外にも税務チームや資金チーム、リーガルチームといった関連部門が数多く関与し、その中において、国/地域や組織をまたがっての決済プロセスやネッティング、複雑な法的合意事項、移転価格コンプライアンス、為替、ガバナンス、内部統制、リスク管理…などのさまざまな調整事項を処理することが必要となりますが、いずれも単純ではない業務です。

※参考:
https://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/us/Documents/risk/us-risk-intercompany-accounting-survey1.pdf

「会社間取引」のシステム化が進まない理由

「人手で大変な業務はシステム化する」、その原則に則って、個社の会計システムや連結システムでは電子化・デジタル化が進んできた反面、この会社間取引に関する領域のシステム化は、企業のグローバル化が始まってからかなりの時間が経っているにも関わらず、手つかずのまま取り残されている企業も少なくありません。先のDeloitte社の調査でも、54%の企業、実に2社に1社以上の割合で、会社間取引を未だにマニュアル処理している、と回答しています。背景には何があるのでしょうか?会社間取引の場合、人・プロセス・テクノロジー(システム)が複数の法人をまたがり、それぞれのロケーションにおいて、言語・通貨・法規制・タックス・商慣習が異なる、という状況が、標準化・合理化を難しくしてきた一因と考えられます。大量のトランザクションが日々発生している状態にも関わらず、その取引についての経理処理は現地も本社も人手で賄わざるを得ない、そんな状況が長年に渡って多くの企業を悩ませてきました。グローバル拠点をワンインスタンスのERPで統合することで改善を図る、そんな大プロジェクトを立ち上げ進めている企業も一部にはありますが、複数年に渡っての大きな投資余力が必要となります。コロナ禍の中、そんな体力がある企業ばかりではありません。ということは、会社間取引の課題はやはり、これから先の世代にも引き継がざるを得ない、永遠のテーマということになるのでしょうか?

既存の会計システムを使いながら解決できる新手法

我々ブラックラインは、この会社間取引の課題に対して既に一石を投じており、一つのソリューションを提案しています。それは、「会社間取引プラットフォーム」という考え方で、既存の各社の会計システムはそのまま残しながら、ライトな形でシステム基盤を整えていこうというものです。決算期における各社間の取引照合作業の苦労については先述しましたが、例えば決算や現地での締め日を待たずに、各社間の取引を1つのプラットフォーム上に集めていつでも確認できるようにしておくことで、取引照合作業を前倒しすることができるのではないでしょうか。その中で、さらに突合や消込といった各処理を自動化することができれば、担当者の作業負荷を軽減させることもできます。また、役務提供等での各社間の取り決めや契約条項等も同じプラットフォーム上で管理し、レート計算や仕訳生成ルールを設定、請求書や会計伝票を自動生成させて各社の会計システムに自動連携させることができれば、そもそも数字の差異自体も発生せず、確認作業も大幅に削ることができます。またそれらの情報に関係各署からアクセスできるようにして情報を共有できれば、質問や問い合わせの数を減らすこともできますし、本社側でも内容を把握・管理できることにより、グループ全体でのガバナンス強化にもつながります。

BlackLine会社間取引ソリューション

こうした仕組みをゼロから手組みベースで構築していくのは非効率な上にコスト・時間もかかってしまうため、専用パッケージの活用が効果的です。ブラックラインでは、「会社間取引(Intercompany Hub略してICH)」という製品をご提供しております。既存システムの外側に用意したプラットフォーム上に、段階的にシナリオやデータを移していくということが可能で、クラウドのメリットを最大限に生かした画期的なソリューション、といえるのではないでしょうか。発表してまだそれほど時間が経っていない製品ではありますが、各社からの引き合いは多く、グローバルでは既に数十社において採用されております。機能の詳細については本ブログでは割愛いたしますが、まさに今のグローバル時代に求められるソリューションということで、これから多くの日本企業の皆様にご提案させていただきたいと考えております。(本機能の詳細はこちら

<ライター>

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ブラックライン株式会社
ソリューションコンサルティング部
部長
中原 啓樹

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