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経理業務デジタル化の必要条件 ~早い(迅速)・安い(効率的)・うまい(効果的)DXとは~

経理 トレンド

「早い」「安い」「うまい」と言うと、一昔前の牛丼屋のキャッチフレーズを思い起こしてしまう方も少なくないのではと思いますが、この3要素を業務のデジタル化に当てはめて考えたとしたら、そこにはどんな解があって、どんな世界が実現できるのでしょうか?前回のブログでは、デジタル化により経理部門が目指すゴールについての提言をさせていただきましたが、今回はそのゴールに至るステップについて、「早い/安い/うまい」手法について、考えてみたいと思います。

「早い(迅速)」 …デジタル化に向け、スピード感を持って走り出す

ITの世界でクラウドやSaaSの概念が広まるにつれ、「アジャイル」や「トライ・アンド・エラー」という言葉も多く聞かれるようになりました。とにかくまず入れてみて、その結果を見ながら修正をかけて最適化していくという手法ですが、こと日本企業においては“苦手”な手法なのかもしれません。私自身、長年にわたり多くの日本企業にクラウドベースのソリューション提案を行ってきましたが、中には数年もの間、「検討フェーズ」から抜け出せず、導入を決めるのに10年以上かかったというケースも少なくありませんでした。                       

新しいテクノロジーによって、本来得られるはずのメリットの享受がその分遅れてしまうことによるロス。また、現行システムと重なる機能があれば、その保守運用費も新システム稼働までの間かかります。もちろん導入検討にかける人的リソースを長期間取られる点も、見過ごせません。まず始めてみて、結果に応じて軌道修正できるのがクラウド時代の大きな利点なわけですから、可能性のあるテクノロジーに早く触れて効果を実感し、次にどう広げられるのか見極めるやり方の方が、理に適っているのではないでしょうか。

「安い(効率的)」 …デジタル化で、どうコストメリットを出せるのか検討する

経理部門のようなバックオフィス部門の場合、新しいテクノロジーの導入によって、それが結果として直接的に収益(収入)を生み出すというのは基本難しく、狙える経済的メリットとしては、コストが削減できるという方が現実的です。コストメリットをデジタル化のメイン目標として置く場合、専門性の高い経理の方の業務をどこまで「標準化」できるかどうかがポイントになります。「標準化」ができれば、それはシステム上で「共通化」や「自動化」が表現できることを意味しますので、その作業にかける工数を削減できたり、その作業を行うプロセスをアウトソースできたり体制や人員配置を変えやすくなるということにつながります。コカ・コーラ社での取り組みでは、BlackLineをベースに「標準化」を進めた結果、対象業務の約4割をシェアドサービスセンターへ移管することができ、年間60万ドルのコスト削減効果に加え、対象業務作業の一部を、経理部員の手から解放することに成功しました。コカ・コーラ社のケースは、結果として「安い」投資だったと言えるのではないでしょうか。

「うまい(効果的)」 …デジタル化により、現場に自発的な変革を促す

「早く」トライしたテクノロジーが、成功事例となって「安い」投資であることが確認できた先には、デジタル化が「うまい」形で現場業務に貢献できるのが理想です。小さくても成功事例が生まれると、個々人の意識が変わってきます。例えば、目の前の業務が、非常に専門性の高い業務であると思っている社員の方がいたとします。そうした誇りを持って業務にあたることは非常に素晴らしいことと思いますが、反面、「他の人には任せられない業務だ」というところで思考停止している可能性もあります。その社員の方が、仕事への意識を少し変えたとしたらどうでしょう?「自動化したり、リモートで自宅でやれたり、他の誰かにやってもらうような形にできないか」という方向に思い至れば、「まず、業務を細かいタスクレベルに分解して、『ルール化』できるか考えてみよう」と「標準化」への道へとつながっていき、最終的には「デジタル化」に行き着くはずです。個々人の仕事に対する考え方や時間の使い方を変え、組織全体の生産性向上へとつながっていく、これこそが「うまい」デジタル化の姿だと思います。

「経理」でのデジタル化の意義

当ブログで掲げた「早い・安い・うまい」デジタル化の発想は、バックオフィス部門全般に適応可能な考え方とは思いますが、「経理発」で行うことに大きな意味があると思っています。「専門性の高い業務の固まり」・「専門家集団」の象徴である経理がデジタル化の先陣を切ることで、他のバックオフィス部門ひいては会社全体へ大きなインパクトを与えることができると考えます。先述の「うまい」デジタル化の波が組織全体に波及すれば、それが新たな企業の文化・ブランド力として根付いていく、「経理発」のそんな素晴らしい光景を1つでも多く見たいと切に願っています。

<ライター>

nakahara.jpgブラックライン株式会社
ソリューションコンサルティング部
部長
中原 啓樹